2021年8月20日、歴史漫画「風雲児たち」などの作品で知られるみなもと太郎先生が74歳で亡くなられたとニュースで報じられました。
ギャグを織り交ぜながら、関ヶ原合戦から江戸時代幕末までの歴史をしっかり描く「風雲児たち」は、NHKテレビドラマやシネマ歌舞伎の原作にもなっています。
私に歴史の面白さ・奥深さを教えてくれた「風雲児たち」の内容と魅力をご紹介します。
コミック「風雲児たち」
江戸時代前夜から幕末時代を描く歴史漫画「風雲児たち」。
全巻読破したのは、20数年前のこと。
今でこそ歴史好きですが、学生時代は「ふつうよりちょっと好き」ぐらいだった私に「歴史の面白さ・奥深さを教えてくれた本」と言っても過言ではありません。
学生時代に出会っていたら違う人生を歩んでいたかも…
「なぜ幕末の倒幕運動が起こり、薩摩・長州が中心となったのか?」
その答えを求めるなら、
「豊臣家が滅び、関ヶ原合戦と大阪冬の陣・夏の陣を経て、江戸幕府がはじまるまで」
の経緯からさかのぼって見ていく必要があると気づかせてくれました。
起こったことを「点」だけでとらえるのではなく、時代を超えて脈々と続いている「線」でとらえると、見えてくるものがある。
そのことがストンと腑に落ちて理解できる良書なのです。
とはいえ、小難しいことをならべたてているわけではない。
いや、むしろ、その逆!
昭和生まれには懐かしいギャグが散りばめられていて、「こんなところにもギャグが!」と隅々までチェックしてしまいます ^ ^
(お色気ギャグもちらほら…)
おふざけてんこ盛りなのに、本質的なところはきちっと押さえているのが、「風雲児たち」の凄さだと思います。
私の手元にある「風雲児たち」は、潮出版社のもの。
1979年~1980年にかけて、同社のコミックに連載された内容です。
現在は、リイド社から発行されています。
<風雲児たち ワイド版 第1巻 >
また、2001年からリイド社刊の雑誌「コミック乱」で、「風雲児たち 幕末編」が連載され、2020年から休載。
みなもと太郎先生の死去により未完となってしまいました…
<風雲児たち 幕末編 第1巻>
※時代の流れにそって読み進めたい方は、「ワイド版」→「幕末編」の順がおススメです。
ちなみに「風雲児たち」の中身で描かれている絵は、上の画像右下に描かれた「志士のイラスト」のタッチ(テイスト)です ^ ^
NHKテレビドラマ 「風雲児たち〜蘭学革命(れぼりゅうし)篇〜」
「風雲児たち」は、NHKドラマの原案にもなりました。
NHK総合の「正月時代劇」で2018年正月時代劇で放映された、
「風雲児たち〜蘭学革命(れぼりゅうし篇〜」(ふううんじたち らんがくれぼりゅうしへん)。
脚本は三谷幸喜さん。
前野良沢と杉田玄白による「蘭学事始」がテーマとなっています。
キャストには、片岡愛之助さんや山本耕史さんなど、三谷さんが脚本を手がけた大河ドラマの出演者が起用されているのも、歴史フアンには嬉しいところ。
そして「寛三」という役で、、みなもと太郎先生自らも出演されているのも注目です。
三谷かぶき「月光露針路日本 風雲児たち」
「風雲児たち」は、なんと歌舞伎化もされています。
作・演出はまたもや三谷幸喜さん。
「月光露針路日本 風雲児たち」(つきあかりめざすふるさと ふううんじたち)と題して、2019年6月に歌舞伎座「六月大歌舞伎」夜の部で上演されました。
内容は、商船が漂流し、異国に流れ着いた大黒屋光太夫の漂流譚。
配役は、光太夫役の十代目松本幸四郎、片岡愛之助や二代目松本白鸚など。
→ 内容と言い、配役と言い、どこか1978年の大河ドラマ「黄金の日日」を彷彿させますね ^ ^
ルソン助左衛門にくぎづけ!1978年の大河ドラマ「黄金の日日」 | 校正まるめがね
シネマ歌舞伎「月光露針路日本 風雲児たち」
歌舞伎の舞台を映画館でデジタル上映する「シネマ歌舞伎」シリーズの第36弾。
2020年10月2日「シネマ歌舞伎 三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」として公開されました。
上記でご紹介した歌舞伎 「月光露針路日本 風雲児たち」 の舞台映像に、みなもと太郎先生原画のオリジナルアニメ等を加えて編集したものです。
シネマ歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」
※上記リンク先のAmazonプライムは「現在視聴できません」となっています。(2021年8月21日時点)。DVDも探したのですが、見つかりませんでした。
夫が一人で見に行って「非常に面白かった!」と言ってましたよ。
冒頭部分で、みなもと太郎先生が描かれた原画が登場するそうです。
まとめ
テレビドラマや歌舞伎の原案にまでなっている名作「風雲児たち」。
実家で保管していた漫画を持ち帰り、小5の子どもが読んでいる姿を見るのも感慨深いです。
江戸~幕末の有名・無名の人たちに思いをはせながら歴史の見方が深まる、そして何より面白い!
「漫画といえども、小難しいのはチョッと…」という方にも、心からおすすめしたい歴史漫画です。
みなもと太郎先生、素晴らしい作品を生み出してくださり、本当にありがとうございました。