「お風呂を後からもう一度わかすことを表す」ことを表す場合、漢字は「追い焚き」「追い炊き」?
校正の仕事をしていると、当たり前のように使っていた言葉でも、「あれ、本当に正しいのかな」と、立ち止まって考えることがあります。
「追い焚き」「追い炊き」それぞれの意味を、辞書で確認してみました。
顧客からの指示書に記された「お風呂の追い炊き」の赤字
とある住宅関連会社さんのチラシを校正していた時のこと。
顧客の担当者から入った赤字(=原稿内のここをこう直してほしい、という指示書)に、
「お風呂に追い炊き機能あり」と書かれていました。
んん?
お風呂の場合「追い焚き」では?
と思ったものの、手書きで、かつ何箇所も書かれているのを見ると、自信が揺らいできます。
顧客の社内ルールとして、あえて「追い炊き」としているのか?
資料やホームページなどを調べてみますが、特に記載は見当たらず。
次に、一般的にはどうなのか、ネットで検索。
確かに、お風呂の「追い炊き」と書かれているケースもある…
うーーむ。
確かな答えが出ない場合は「辞書で調べる」が校正の鉄則だ!
「追い焚き」「追い炊き」それぞれの意味を辞書で調べる
それぞれの意味を、「三省堂国語辞典七」から引用。
わかした ふろがさめたときに、もういちど わかすこと。
三省堂国語辞典七
たいた ごはんがたりないときに、もういちど たくこと。
三省堂国語辞典七
三省堂国語辞典では、「追い焚き」と「追い炊き」を明確に区別して記載されていました。
ちなみに「広辞苑第六版」では
おいだき【追焚き】
広辞苑第六版
①(「追炊」とも書く)炊いた飯が不足して、さらに炊き足すこと。
②風呂の湯がさめたとき、もう一度火をたいて沸かすこと。
となっており、いずれの場合も「焚き」の表記がベースで、「ご飯を追加でたく」場合は「炊き」でもOKという解釈でしょうか。
どちらにせよ、「お風呂を追加でわかす」今回のケースは「追い焚き」にした方がよさそうです。
まとめ
以上をまとめると、
お風呂をあとからもう一度わかす→「追い焚き」
たいたご飯が足りなくなって、もう一度たく。→「追い炊き」(または「追い焚き」)
ちなみに、
送り仮名も「追い焚き」「追焚き」「追焚」「追い焚」と、いろいろなパターンが考えられますね。
私の勤務先では、商業印刷の場合は「顧客の表記ルールに則る」のが原則。
顧客に表記ルールがない場合は、「紙面で統一がとれていればOK」としています。
※たとえば、「紙面のスペースがあまりなければ、文字数を節約した”追焚”表記にする」など臨機応変に。
日本語は、少しの意味の違いでも異なる漢字となるのが奥深いですね。
「ん?」と感じたら、ネットや辞書で調べることが大切だとあらためて思いました。