☆2023.1.4 更新☆ 2023はどんな年に?

伝わりやすい校正赤字の書き方は?『伝わる・揺さぶる! 文章を書く(山田ズーニー著)』を読み考えてみた

※本ページにはプロモーションが含まれています。

校正者は「簡潔に文章で伝える力」が必要だと実感しています。

また、こうしてブログで発信することもあり、「文章力アップ」系の本やネット記事をよく読むようになりました。

いろいろ読んだ中で参考になった1冊が、山田ズーニー著・『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』

著者は、大手通信教育会社で小論文教材に携わってきた方です。

この本は、ただ「文章を書く」ことだけにとどまらず、「人と人とのコミュニケーション」という、もう少し深い次元・本質のところまで考察されています。

日々の暮らしの中で「文章を書く」時はもちろん、校正者が赤字を書く時にも役立つ考え方だと思いました。

内容をかいつまんでご紹介していきます。

人は日々、なにかしらを書いている

この本の特徴は、「機能する文章を書く」ことに重点をおいていること。

「何のために、その文を書くのか」、つまり「目指すゴール」を徹底的に考えることが、いい文章につながっていくというわけです。

また、この本では「生きていくための必需品」のような文章、つまり「生活機能文」「コミュニケーション文」とも言えるジャンルの文章について述べています。
→したがって、小説や詩などはこの本で扱う文章ジャンルの対象外となります。

考えてみれば、私たちは日々の暮らしの中で、いろいろな種類の文章を書いていますよね。

たとえば、自分自身で考えてみると、

・校正の仕事で原稿に書き入れる赤字
・会社内のチャットツール
・PTAで担当している委員内LINE
・子どもの担任の先生への連絡帳
・義母や親戚へのメール
・家族や友人との日常的なLINE

などなど、挙げていくとキリがありません。

特にメールやSNSが連絡手段の主流となってから、誰もが「文章を書くこと」を避けては通れなくなっています。

そんな「生活必需品の文章」について大切なのは、自分がこの文章を書くことで「相手に何を伝えたいのか」ということなのだと思います。

さらにこの本では、1歩進んで「結果を出すこと」をゴールに設定しています。

読み手の心に、共感・納得・発見などの動きを生むような、人を揺さぶる文章を書くこと

それが目指すゴールだと述べているのです。

大切なのは「論点」を考えて書くこと

『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』では、文章を書く際には「論点」を考えることが大切であると述べています。

論点とは
・「何について書くのか」
・「自分が取り上げた問題」
のこと。

文章を書く時は、論点を考え、一貫性をもたせることが大切。

その上で、以下の3つの要素で構成すれば、シンプルで伝わりやすい機能文が完成するそうです。

(1)論点

(2)論拠(意見の理由)

(3)意見(結論、自分が最も言いたいこと)

与えられた文字数に応じて、意見→ 論拠→ 論点 の優先順位で書いていけばよいというわけです。
※論点は、頭の中でしっかり把握できていれば、文章中で書かず、意見と論拠だけでOKです。

ここで注意が必要なのは、「論点」は、「テーマ」とは少し異なるということ。

たとえぱ、「校正」について文章を書く場合、「テーマ」と「論点」の違いは以下のようなイメージになります。

●テーマ

「校正について」(←広い)


●論点

「なぜ校正者のチェックが必要なのか」(←独自の問いを立てて絞っている)

「テーマ」の中から独自の問いを立て、「論点」を絞り込んでいくという感覚はなかなか難しいですが、大切なことだと感じました。

伝わりやすい校正赤字の書き方は? NG例も

校正者が校正紙に書き入れる赤字や疑問出しについても、今まで述べてきた「機能文」の作成方法が役立ちそうです。

校正者の赤字は大きく以下の3つに分類されると思います。

(1)明らかな誤り(誤字・脱字・衍字)

(2)おそらく誤りだが、赤字で修正指示してよいかの判断まではできない

(3)誤りとまでは断言できないが、念のため指摘した方が良い

上記(1)の場合は、誰がどう見ても誤りなので、余計な説明は書かなくてよいケースがほとんどです。

補足説明の文章が必要になるのは、(2)と(3)のケース。

『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』に書かれた内容に当てはめて考えると、

「意見(考え)→論拠(理由)を述べる」

とともに、

ゴールを「結果を出すこと」に定め、

「読み手が、結局何をすればよいのか、一目で判断できるように書く」

ことが大切だと思いました。

ここで、かつて受講した、日本エディタースクールの授業で紹介された「よくある校正赤字のNG例」をご紹介します。

それは、「疑問点に対し、『OK?』とだけ書かれている」というもの。

確かに、原稿をずっと読んで、内容をよく理解している校正者からすると、
「あえて説明しなくても赤字の意図が読み手に当然伝わるだろう」と思ってしまいがちです。

ただ、赤字だけを追っていく読み手には、「何がどうおかしいのか」という理由が伝わりませんよね。

「内容に関する赤字なのか?」「漢字や語句の使い方を問うているのか?」と、考え込んでしまうでしょう。

赤字や疑問出しを入れる時には、

・簡潔に

・読み手が、赤字や疑問出しに対してどう動けばよいか、判断できるように

・必要に応じて適切な判断材料を提示

の3点が大切だと思いました。

さらに、赤字を書いたあと大切なことを一つ。

それは、

自分が書いた赤字を、客観的な目で見直すこと。

私も、自分が書いた赤字を最後に見直して、誤字や勘違いを発見し、ヒヤッとしたことは、一度二度ではありません…

時間が許すようなら、校正が終わって日を改めて見直すのがベスト。

もし、時間がない場合でも、いったん席を外したり、ちょっとブレイクしたりしてから、「新しい目」で見直すように心がけています。

おわりに ~文章がうまい。だからどうなのか?~

文章がうまいことは、とても素晴らしい。

これはまぎれもない事実だと思います。

しかし、仕事であらゆる人の文章を読んできた筆者(山田ズーニー氏)は、こう述べています。

「文章がうまいだけでは価値にはならない」

もちろん、「技巧的なうまさ」は大切だし素晴らしい。

ただ、この本を読むと、それ以上に、「何を伝えたいか」や、伝えた相手に「どのような変化が生まれることを望むのか」が大切であるように思いました。

最後に、この本の中で最も心に響いた箇所をご紹介します。

文章力は、人を蔑んだり、傷つけたりするためのものだろうか。文章がうまいから、だからどうだというのか?

(中略)

もし、ただ、だれかを傷つけるだけ、ただ落ち込ませるだけで、その後に何も生み出さない文章だと気がついたら、あなたはそれでも、発信したいだろうか。

自分が書いたもので、人が歓んだり、触発されたり、読み手自身の潜在力が発揮されるのが感じられるのは、書いていて嬉しいことだと思う。

(中略)

少し高いハードルだが、あなたにしか書けないことで、結果的に人に歓んでもらえるというところから逸れないように、文章のゴールを設定していくといいのではないだろうか。

「伝わる・揺さぶる! 文章を書く」 山田ズーニー著

使い方を誤ると、人を傷つける「刃」にもなる言葉。

心がざわついている時には、つい鋭い言葉を放ってしまうことも…

「人の心に何を届けたいか」を常に考えて言葉を発信するようにしたい。

改めて感そう感じさせてくれる一冊でした。

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