巷でその内容が「昭和」「理不尽」と話題になっている、文部科学省後援の秘書検定。
私も、2009年に準1級を受験しました。
→そして見事に落ちました。(トホ~)
準1級の試験内容は、筆記+面接試験。
面接は、「いかにも凄腕ベテラン秘書」的なオーラをだしまくっている女性面接官を前にたじろぎ、挙動不審になったのを覚えています。
そりゃ落ちるわな、と納得感ありありです。
10数年ぶりに、たまたまとっていた2008年版・準一級テキストを読み返してみました。
確かに「うわ、これ昭和だよなぁ」と感じることもしばしば。
まずは、「まえがき」。
●女性の特性を際立てる秘書機能
「秘書検定集中講座 準1級」早稲田教育出版 2008年第三刷
多くの職場に多くの女性が働いています。働く、その女性に何が期待されているのでしょうか。
(中略)
仕事は、下の人が上の人を「補佐」することによって成り立ちます。この「補佐」が「秘書機能」です。
(中略)
なぜここに、女性の特性が生きるのでしょうか。集約すると「人当たりが柔らかい」「細かく気が回る」「手助けすることに生来の特性がある」などになります。
(以下、省略)
おお!「女性の特性を際立てる」とは、しょっぱなから「昭和」…
会社のエライさん(=おじさま)が、
「いや~、女性は職場の華ですなあ」と言っていた時代が思い浮かびます。
さらに、「身だしなみ」のところでも、
身だしなみ
「秘書検定集中講座 準1級」早稲田教育出版 2008年第三刷
◆化粧はナチュラルメイクが基本(中略)ノーメイクは避ける。
◆靴は中ヒールが基本。
◎5~6cm程度の中ヒールで、歩きやすく機能的なものが望ましい。
※一部抜粋しています。
ご、5~6cmのヒールって、まあまあ高いよね。
「機能的」どころか、めちゃ足痛くならんかい?
と、思わずつっこんでしまいました。
齢40をこえて筋力が落ちた足に、5~6cmヒールはきつい…
今思うと、秘書検定はあくまで「20~30代」の「女性」を対象としていたのかなあと。
ここ数年で、ジェンダーレスの気運が一気に高まった気がするので、さすがに最新版では、このくだりは変わっているかもしれません。
→下に追記あり。
とはいえ、平成も後半の、今からほんの10数年前のテキストでは、当たり前のように書かれていたことに驚きです。
そして、当時「ふむふむ、なるほど」と何の疑問もいだかず勉強していた私は、昭和の女…
・「女性らしさ」「男性らしさ」を大切に
・「男性=上司、女性=補佐」という性別による役割分担
・「補佐は上司のいうことに口出さず、清濁のみこむべし」
といった昭和の価値観を目にした令和の若者たちが
「は?」となるのも無理がないと納得したのでした。
*追記
「2021年版・準一級テキスト」では、まえがきの文章は一新され、「女性うんぬん」の内容はすべてなくなっていました。
※2018年版の二級テキストでも「まえがき」は既に一新されていました。
最新版は、全体的に「ジェンダーレス」になっている印象。
秘書のイラストも男女が描かれており、登場人物名も「秘書A子」から「秘書A」に。
「身だしなみ」の箇所も、男女問わずな文言になっており、「※女性は 中ヒールが望ましい」にとどまっていました。(「ヒールの高さ5~6cm」の明記なし)
「ノーメイクは避ける」の文言もなくなっていましたよ。
10数年で隔世の感あり、だと感じました。
秘書のお仕事も派遣社員が担うことが多い昨今。
「上司からミスを指摘されたら、仮に自分のミスでなくても、言い訳せずに謝る」
ことを守っていたら、
「この秘書、ミスばっかりだな~。他の人に変えてよ」
となりかねないのでは。
テキスト内で、上司に超人的な気配りを見せていた秘書A子(と後輩B子)は大丈夫なのか…
雇用環境が変化しているという社会情勢から考えても、秘書検定の内容もアップデートされていくのかもしれませんね。