☆2023.1.4 更新☆ 2023はどんな年に?

入稿前にヒヤリ! なかったはずの文字列が突如現れる、イラレ「山登り事故」に遭遇

Katja RiedelによるPixabayからの画像

※本ページにはプロモーションが含まれています。

このブログで以前ご紹介したおすすめマンガ、「印刷ボーイズ」シリーズ。

シリーズ第3弾、【印刷ボーイズに花束を~業界あるある「トラブル祭り」】に掲載されていた「なかったはずの文字列が突如現れる」恐ろしい現象に実際に遭遇してしまいました。


印刷ボーイズに花束を 業界あるある「トラブル祭り」3

↑↑ 印刷の「山登り事故」は、93ページ~載っています。

入稿前の原稿に突如現れた謎の一文、その正体は?

とある企業のリーフレット(※)を校正した時のこと。

※リーフレットとは
企業やお店などの宣伝・広告・案内・説明のための、1枚刷りの印刷物。
2つ折りや巻3つ折などに折ることが多い。

校正が終わり、デザイナーさんが修正し、いよいよ入稿!となりました。

私の働いている会社では、赤字通りに修正されているかのチェックを校正者が行う場合もありますが、「赤字が少量」「時間がない」といった場合には、営業や制作担当者のチェックだけで入稿GOをする場合もあります。

この時は赤字がほとんどなかったのですが、たまたま私の手が空いていたので、「じゃぁ、念のためお願いしまーす」という感じで頼まれ、私が最後のチェックをしていました。

赤字はすべて指示通りに修正されている。

画像のヌケや文字ずれも起きてない。

・・・・・ん?

どーーーう見ても、「文字がのっていてはいけない場所」に文字が重なっているような…。

そこにはこんな文章が書かれていました。

「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。~~」

そっ、漱石!?

そうなんです。

あるはずのない場所に、なぜか、
夏目漱石の小説「草枕」の冒頭の一節が、入り込んでいたのでした。

実はこの不思議な現象は、珍しいことではないのだそうです。

私も「印刷ボーイズ」を読んだ後だったので、「あ、これ載ってたやつ!」とピンときました。

なぜ印刷版「山登り事故」は発生するのか

それにしても、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか?


この現象は、アドビ社のDTPソフト「Illustrator」(イラストレーター)で作成した制作物に起こります。

「Illustrator」で文字ツール「T」をクリックして文字を打ち込もうとすると、孤立点(※)を防ぐ機能が働き、自動で「山路を登りながら…」とサンプルテキストが入力されるのだそうです。

※孤立点とは
「余分なポイント」や文字の打ち込まれていない「空のテキストボックス(ゴミフォント)」のこと。
孤立点を残したままにすると、印刷トラブルの原因になることがある。


「Illustrator」 の環境設定 →「テキスト」→「新規テキストオブジェクトにサンプルテキストを割り付け」のチェックを外しておけば、夏目漱石は自動入力されなくなります。
ただ、バージョンアップすると、自動入力機能が戻ってくるのだとか。

ちなみに、「孤立点が残っていないかどうか」は、 「Illustrator」 のチェックツールで確認できるそうです。

私が遭遇した「山登り事故」は、アドビ社の「孤立点が残ってしまわないように」という心遣いが起因していたのですね ^ ^;


英語版「山登り事故」

印刷の「山登り事故」は英語の原稿でも発生します。

「Illustrator」で英語の文字列を入力しようとすると、

「Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit, sed do eiusmod tempor incididunt ut labore et dolore magna aliqua. ~~~」

という文章が自動入力されます。

ラテン語のように見えますが、実は意味を持たない文字列なのだとか。

日本語だと、内容的に「あれっ?」と気づけそうですが、英語だと気づかずスルーしちゃいそうですね(怖)

※こちらも日本語版の漱石同様、 「Illustrator」 の環境設定「テキスト」→「新規テキストオブジェクトにサンプルテキストを割り付け」のチェックを外しておけば、自動入力されなくなります。

校正者としての対処方法

校正者としては、校正する原稿が「何のソフトで作られたものなのか」を意識することはあまりないかもしれません。

ただ「こういう事態が起こりうる」と知っておくだけでもかなり違ってくるのではないでしょうか。

ちなみに、DTPのソフトは、

・書籍やパンフレットなど冊子ものの場合・・・アドビの「InDesign(インデザイン)」

・リーフレットやチラシなど一枚ものの場合・・・アドビの「Illustrator(イラストレーター)」

を使うことが多いようです。

修正後の原稿を、修正していない箇所も全て、一字一句見直すことは、時間的にも予算的にも難しいケースが多いと思います。

とはいえ、原稿内の意図しない箇所に、意図しないことが起きてしまうのがDTPの怖いところ…

校正後に修正が入った原稿をチェックする際には、修正箇所のチェックはもちろん念入りに行い、修正していない箇所も、ざっと見直そう、とあらためて思ったのでした。

■印刷の「山登り事故」が掲載されているおすすめマンガをご紹介

「印刷ボーイズ」シリーズ

「印刷ボーイズ」シリーズは、マンガとしても純粋に面白い!

「山登り事故」についても、ただ「文字列が突如現れる現象がありますよ」と紹介するだけではなく、「山」というキーワードをもとに、テーマが広がっていきます。

そういった話の構成力が素晴らしいなあと、いつも感嘆しながら読んでいます^ ^

さらに、印刷の仕組みや業界のことなども学べるので、校正者はもちろん、広告や本づくりに携わる方にもおすすめします。

\第一弾/

\第二弾/

校正のしごと記録

体に負担のない正しい姿勢をサポートしてくれる、書見台。

▼天然竹を使用したこちらの商品は、傾斜が細かく調節でき、文字も書きやすそうです。

▼こちらも本受け部分が折りたたみ式で書き込みがしやすい&持ち運びしやすい仕様。

▼こちらは、角度調節可能な書見台+傾斜のあるライティングボードがセットになっており、使いやすそうです。

上でご紹介した3点は、ノートPCやタブレット端末にも対応。

比較的お手頃な値段ですので、仕事はもちろん、読書や勉強などにも使えます。

作業をする時、下を向いた状態が続くと、心身の不調の原因となる「ストレートネック」になる恐れも…

目線と画面の高さを合わせることで、眼の疲れや首こり・肩こりを軽減できるそうですよ。

私も実際に試してみましたが、傾斜があるのとないのとでは、疲れ方が全然違うと実感しました。

今や、夫が自宅で仕事をする時の必需品となっています。

1家に1つあれば家族でシェアでき、テレワークや勉強、読書など、いろいろなシーンに使えるので、とてもおすすめです。


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