印刷物等の誤りや不備をただす「校正者」。
数年前、ドラマで「校閲ガール」が話題になったけれど、「校閲者」という呼び名はあまり聞かないような…。
仕事内容に違いはあるのでしょうか?
校正とは
「校正」の意味を、三省堂国語辞典(第七版)で調べると、次のように書かれています。
印刷したもの(校正刷り)を原稿とくらべあわせて、文字・色などのあやまりなどを正すこと。
三省堂国語辞典(第七版)
「くらべあわす」という文言が入っているように、もともとの意味では、印刷物あるいは出版物の製作過程で、
「校正刷(校正用に仮につくられた印刷物)と、元となる原稿を見比べ、文字の誤りや不備を調べ正す」
作業のことを指していました。
ただ、「原稿を手書きで書く人」が激減した今日における「校正」は、
●誤字脱字や表記などのチェック
●文字サイズや図版の配置方法などの体裁が、原稿指定どおりになっているかのチェック
●印刷作業・組版作業での不備チェック
などが、主な内容と言えます。
校閲とは
では「校閲」の意味は?
三省堂国語辞典(第七版)で調べてみると、
読んで、文書のあやまりを調べること。
三省堂国語辞典(第七版)
とシンプルに書かれています。
校閲の仕事を具体的に説明すると、
●事実関係や固有名詞の誤り
●内容の矛盾
●差別用語や禁止用語が含まれていないか
のチェックなど、内容的にも一歩ふみこみ、かつ、非常に多岐にわたる
と言えます。
商業印刷の場合、公正取引委員会や薬機法など、業種ごとに定められた法律やルールに即しているかのチェックも欠かせません。
校正者? 校閲者?
「校正」と「校閲」では仕事の領域が異なることはわかりました。
ならば現場で、「校正者」と「校閲者」が存在し、分業しているのか?というと、そのようなケースはほぼないでしょう。
実際には「校閲者」ではなく「校正者」と呼ばれることが多く、「校正者が校正も校閲も、両方おこなう」ケースがほとんどです。
私が通った日本エディタースクールを例にみると、コース名や資格に「校閲」という言葉は使われておらず、「校正者養成コース」「校正技能検定」となっています。
とはいえ、新聞社では「校閲記者」が存在しますし、新潮社などの大手出版社では「校閲部」を設けているところもあります。→なんとなく「校閲」といった方が「門番」感が強まるような気がしますね。
ちなみに、Googleで「校正 求人」と検索すると約470万件、「校閲 求人」だと約107万件でした(2021年6月時点)。
求人を例にとっても、募集職種として「校閲者」と表記されているケースはあまり見かけず、「募集職種=校正者」「仕事内容=校正・校閲」となっているケースが多いように感じます。
まとめ
「校正者」は、「誤字脱字、体裁や図版、印刷上の不備などがないか」という「校正」の領域と、「矛盾や事実誤認、固有名詞の誤りがないか」という内容にまでふみこむ「校閲」の領域まで担っていることがほとんどです。
つまり、一般的には「校正者」と呼ばれる人たちが「校正も校閲も、両方おこなっている」と言えます。
ただ、業界や会社によっては「校閲記者」「校閲部」としているところもあり、その呼び方はケースバイケース、なのですね。
よって、校正の仕事を受けるときには、「校正」「校閲」どの範囲までやる必要があるのかを、事前にしっかり確認しておくことをおすすめします!
\校正者はもちろん、日々言葉と向き合う人におすすめです/
\「ひと目で伝わるように書く」実例がたくさん/
「短く簡単な言葉で書くとこんなに伝わりやすいんだ!」という実例がたくさん載っていました。
「パッと見て伝わる校正赤字を書きたい」と考えている人や、ブログやSNSで発信している人におすすめです。